
こんにちは。かのうしゃちょうです。

最近どうも物欲が激しく、小手先の節約術では出費を抑えられなくなってきました。
これはもう根本的な所から見直すしかありません。
つまり、自分の心から正していくしか解決法はない…!
そう…。いまこそ究極の節約精神を鍛える時…!

「禅の心」を身につけるしかない!
でも禅の心ってどうやったら身につくんだろう…。
そうだ、枯山水をつくろう。
枯山水とは?
枯山水をWikipedia風に説明すると、
「水を使わずに、石や砂利だけで自然の風景を表現する日本庭園の様式の1つ」だそう。
有名どころでいうと、京都の「龍安寺」などがそうですね。

(© 2017 京都フリー写真素材集:http://photo53.com/ryoanji1.php)
▲みなさんもこの庭に見覚えがあるのでは?
「なんで枯山水を作ると禅の心を身につけられるんだ!」とツッコんだあなた。まだまだ甘い!
お寺では、枯山水を作ることも修行の一環とされているのです。
ああ、今すぐに枯山水を作りたい!!作って禅の心を習得したい…!
でも実際にお寺で作るなんて現実味がないし、ガチャガチャの景品とかでよくあるミニチュア枯山水で作るなんてショボすぎる。
なんとか身近な場所で作れたらいいのになあ…。
身近で、庭っぽくて…、
たくさん砂がある場所……。
… …。
…。
そうだ…!
砂場だ!!
公園の砂場に枯山水を作ればいいんだ!!
枯山水のプロに聞こう

しかし!枯山水どころか庭づくりの知識さえない僕は、当然枯山水の作り方なんてまったくわかりません!
というわけでプロの方にお話をお伺いすべく、京都市は左京区にある、「無鄰菴(むりんあん)」さんにやってきました。

▲入り口側から無鄰菴の庭を望む。後ろにはうつくしい東山が
無鄰菴は明治・大正時代の政治家「山縣有朋(やまがたありとも)」の別荘であり、国の名勝庭園(重要文化財のお庭版)にも指定されている、由緒正しいお庭です。都心部ながらも山里に来たような気持ちのいいお庭が堪能できます。

そんな素敵な場所でお話をしていただけるプロの庭師はこの方!
阪上富男さんです!
阪上富男さん
植彌加藤造園株式会社に勤めるお庭のプロフェッショナル。
無鄰菴ではお庭の作庭や管理・運営に携わりながら、日本庭園の文化も伝えている。
あの「南禅寺」のお庭の手入れもされているという、まさにキングオブ庭師!
カメラマンは友人のサマーです。
阪上さん、今日は枯山水についていろいろ教えて下さい…! よろしくお願いします!
私は、お坊さんではないので専門的なことはお答えできませんが、庭とのかかわりで概要をお答えさせていただきますね。よろしくお願いします。
枯山水の『定義』って?
早速なんですが、阪上さん! 禅の心を知るために枯山水を作りたいと思ってるんですが、枯山水の「定義」ってあるんでしょうか?

そもそも枯山水はお坊さんが修行をするために、修行をする場所のひとつとされている「自然の中」を再現して造られた「禅のお庭」なんです。
え〜!? もしかして、かのうさんが作っても枯山水にはならない…!?
そうですね、「禅のお庭」というのであればお坊さんが造ったものを指します。これはお庭を作ること自体が修行であり、さらにはその中で修行のひとつである瞑想をすることが目的とされているためです。ですが禅の思想を知り、そこに沿おうとして作るのであれば「禅のお庭」としての枯山水、と思っていただいていいかもしれないですね。
なるほど。枯山水を作ることが修行になるのはそのためだったんですね。
枯山水の中には、日本古来の言い伝えを模して作られたお庭なんかもあるんですよ。鯉が三段の滝を登って龍になる「登竜門伝説」や、海に浮かぶ神の島を模したものだったり…。

▲神々しい世界を枯山水で作り出し、そのほとりでお坊さんは瞑想をしていたそうだ
ではぶっちゃけた質問なんですが、枯山水ってどのくらいの期間で作れるんでしょうか?
これはかなり規模にもより様々ですが…。シンプルなものならば1日もあればできます。
え!修行なのに!?
ええ。極端に単純化して言うと、土地を整えて、砂利をバーっとしいて、砂の模様(砂紋)をひいて終わり、というのでも形はできてしまうので…。

ですが、もちろん皆様こだわりをもって造られるので、こちらもそれに応じてお庭を造ります。
なるほどなー。僕はどんな規模の枯山水を作ろうかな…。
ついに明かされる!枯山水作りの極意
あのですね、阪上さん…。実は僕たちこれから公園の砂場に枯山水を作ろうとしてるんですが、これってぶっちゃけ技術的には可能ですか…?
え、公園の砂場に!?

▲このタイミングで明かされた内容に驚く阪上さん
ま、まあ…砂場の砂でもつくることは可能だと思いますよ。模様を描くための砂熊手も、木の板をギザギザ状にすれば代用できますし…。
よかった、砂場にも作れるんですね!
はい。いやー、あぁ、さっきまでの質問は公園に枯山水を作るためだったのですね…。

▲完全に引いている阪上さん
ちなみに、仏道的な観点では…怒られたりとか…?
あー…。ちょっと私からはっきりとは言えないですが、ちゃんとそこに思いがあればいいのではないでしょうか。「なぜ作りたいのか」「何を伝えたいのか」その目的をきちんと考える必要があるでしょうね。

▲しかし、やっぱり真摯に答えてくれる阪上さん
な、なるほど…!今回は、「禅の心を身につける」ために作ろうとしています。
禅の考え方に、「己の価値観で物事を図るのではなく、そのもの、ありのままを見る」というものがあるので、それを参考にするといいかもしれませんね。もの自体に価値観があるのではなく、それを作っているのは見ている者だ、という考え方です。
そのもの、ありのまま…。
自分の基準で物事の判断をすると「もっとこうだったらいいのに」という欲が出てしまう。目の前のものの本当の美しさを感じるには、素直に受け入れる心で見つめないと足りなく感じてしまうんですね。だから、普段の日常の中でも実は十分に美しいものを楽しめたりするんですよ。

▲目の前にあるもので満足し、過分な欲を捨てる。禅の心の基本である。
僕はゆで卵はまずいと思ってるんですが、これはゆで卵が悪いのではなく「まずい」という僕の価値観のせいだ…っていうことですね!
そこは価値観がどうのじゃなくて、まず好き嫌いをやめましょうよ!
ともかく、枯山水を作るのであれば、まずその公園がどういう場所なのか見つめてください。どんな公園なのか、利用者はどんな風に使っているのか。現場を見ればどういう枯山水を作れば良いのか答えをくれるはずです。

どういう石を置けばいいとか、ビジュアル的なアドバイスはありますか?
それも、その公園を見て感じ取ってください。逆に言うと、公園で作るのであれば、まずはその公園を知らなければダメですね! そしてその枯山水を見てくれる人たちのことも考えて作ってみてください。
なるほど…頑張ります!本日はいろいろ貴重なお話をありがとうございました…!
というわけで、枯山水を作る心構え、さらには禅の心についてもご教示いただくことができました。
阪上さん、ありがとうございました!
もうこれ禅の心を得たってことで、枯山水作らなくてもいいんじゃない?
いいわけあるかい
実際に公園の砂場に枯山水を作ろう

そんなわけで枯山水を作るべく、公園にやってきました。
ここからは枯山水作りのお手伝いに、僕の友人である「ぱたお」が加勢します。
まずはこの公園にふさわしい枯山水を作るべく、現地調査からはじめよう。
「その場所の良さをそのまま受け入れ、余計なものを求めない」、禅の心ですね。

▲とても広々とした綺麗な公園だ
まずぐるっと1周してわかったことは
・住宅地のど真ん中に位置しており、すぐ横にはスーパーや学校がある
・ダブルダッチの練習をする若者、のんびり散歩するお年寄り、遊びに来た親子連れなど、幅広い層の憩いの場となっている
・砂場の設置エリアは子供向けの遊具があるエリア
ということでした。
これらの特徴を踏まえて……でました!!

これが僕の作りたい枯山水です!
公園に来た人たちが散歩の合間やベンチでのんびり眺められる「池」をモチーフにします!なのであまり激しい模様は描きません。
またこの枯山水には、「遊べる」要素も入れたいと思います。
枯山水で遊べる? そんな枯山水聞いたことないですよ?

ここ! この市松模様みたいになってるところは、お子さんがぴょんぴょんして遊べる場所なわけです。ここはたくさんの親子連れが遊びに来るそうなので、そんな人たちも楽しめるものにしたいなと考えました。というわけで、そんな枯山水を作りましょう!!
※撮影は事前に砂場の使用申請を行い、許可を頂いた後に行っています。
枯山水づくりその1:砂地を整えよう

▲これが、今回僕たちが枯山水をつくる砂場です
あれ? ちょっと待ってください、かのうさん。これ…

うわー! 落ち葉だらけですよ! 砂もボコボコですよかのうさん!
掃除がたいへんそう…!うう、これも禅の心を学ぶための修行というわけか…!

▲まったく想定外だった枯葉をせっせとあつめ、砂をならしてゆく

▲作業中に何度も「ボランティアですか?たいへんですねえ」と声をかけられた
掃いても掃いても砂の中から無限に落ち葉が…!
…よし!これでどうだ!

▲これぞ劇的before after
掃除と砂を平らにする作業に2時間をロスするも、なんとか砂場を整えることに成功!
枯山水づくりその2:配置をしよう

お次は、この設計図を目標にレイアウトづくりを開始します。
ちなみに今回は石となぜか家にあった人工芝を使って枯山水をつくっていきます。

▲あらかじめ用意した石を運び…

▲置く。自立しない石は、刺す。
よし、次は人工芝で市松模様を置いて…
うわー! なんやこれ! なにしてんの!
こ、これはご近所のちびっ子達…!?
あ!かのうさん!さっき置いた市松模様で…

▲器用に芝生の上で飛び跳ねるちびっ子達
遊んでます!ちびっ子めっちゃ遊んでます!
これは、まさに思い描いてた通りになっている…!!

ちびっ子達にも無事楽しんでもらうことができ、順調にレイアウトも完了。
なんかこれ、和風っぽくてかっこいいー!
(この感想をまっていた…!)
枯山水づくり3:砂の模様をひこう
ついに枯山水の醍醐味、波や水の流れを表現する「砂紋」をひいていきます。
雑念を捨て、己と砂に向き合いながら……

やばい。自分の周りにひいちゃったから出れない。
心を無にするのはいいですけど、作業の進行だけはちゃんと頭に入れてくださいね?

▲案の定中央の円をひくのに四苦八苦する
あー!かのうさん!そうこうしてる間にさっきのちびっ子達が…

自分の靴でめっちゃ砂紋ひいちゃってます!どんどん設計図からかけ離れてます!

▲一気に子供達の遊び場と化す枯山水
ここまで遊べる枯山水になることは想定してなかったわ…
あ!か、かのうさん…!

▲自作のトンボが無残な姿に
さっき作ったトンボが壊れてます!いつの間に!!
なんだって!
はい皆さん、怒らないのでこのトンボを壊した人は手をあげてくださーい。

▲壊したことについて子供達と学級会を開くも、名乗り出た子は誰もいなかった
知りませーん
OK!じゃあいいや!気を取り直してみんなで掃除しよか!
あ、もう5時や!帰らなあかんし帰るわ~!
一瞬で全員いなくなった…まるで嵐…
そんなちびっ子達のはしゃぎっぷりに振り回され時間をロスしつつも、なんとか作業をすすめます。
砂場でこどもが遊ぶのは当たり前…当たり前の光景を受け入れて黙々と手を動かす、これも禅の心を知るためなのだ。
体制を立て直しつつ、模様をひいていきます。

▲配置した石の周りには丸く模様をひく
丸い模様を引いたあとに横向きに全体に引いて…


か、完成だー!
枯山水完成!


というわけで計約4時間、やっと枯山水が完成しました!
やったー!!まあそのうち30分はちびっ子が描いた模様消しに充ててましたけどね


▲人工芝が以外と苔のような味をだしてくれた

▲枯山水の中央にある大きな模様が全体にダイナミックな動きをだしてくれている


▲水の模様と池のさざなみが表現されているだろうか

なんか思ったより池っぽい…これは見事に見立てられたんじゃないか…
ほんとにこれは…枯山水ですね…いや、池ですね…
砂場に枯山水を作ったら禅の心は得られるのか
で、ここまで作り上げたのはいいんですが、禅の心は身につきました?
いや…そのことについて考えてたんですが、僕はもしかしたら「枯山水を作りたいという欲」に飲まれてしまっていたのかもしれない…
?

途中でちびっ子達が遊びに来た時、僕は「せっかく作ってるのに荒らされる!」って思っちゃったんですよ。最初には「子供も遊べる枯山水をつくる」って言っていたのに…。

▲あんな学級会を開く権利は、僕たちになかったのだ…
つまり僕は、本来ここにないはずの枯山水を作ることが目的になってしまってたんですよ…。本当は、枯山水をつくることで「ありのままの自然を見つめる」「自分の欲を打ち消す」「禅の心を知る」ことが目的だったのに…
そして公園の砂場のありのままの状態とは、子供達が自由に遊んでる状態…。そう、まさにあんな感じで

▲たまたまお母さんと公園に訪れていたちびっ子

▲石を倒し…

▲模様を消しながら駆け回っている
こんなふうに好きに子供が遊んでいるのが、公園の砂場の本来の姿なんですよ…!!!
そうか、この姿を壊してまで枯山水作りにこだわっていては、それは僕たちの「欲」になってしまうんですね…!
だからこの砂場を、もう一度僕たちの手で本来の姿に戻そう…!そして禅の心を得よう…!!
かのうさん…!
結論:枯山水は禅の心を学べるが、公園でつくっても学べない
というわけで、公園の砂場で枯山水を作るのは禅の心を学ぶどころか、僕たちに新たな欲を生み出してしまいました。

しかし砂しかない遊び場である砂場でとても楽しそうに遊ぶ子供達から、「目の前のもの以上を望まず、その良さをみつめる」という禅の第一歩を学ぶことができたように思います。
今回の枯山水作りの中では禅の心を得ることができませんでしたが、あの枯山水は僕たちの心にずっと残り続けてくれることでしょう。

お庭・禅の心について教えてくださった阪上さん、そこにあるものだけで最大限楽しむことを教えてくれた子供達、自分たちは意識せず欲を生み出してしまっていることを教えてくれた枯山水…。
たくさんの人たちに感謝しつつ、また一から禅の心を学んでいきたいと思います。
最大の節約術を手にいれる第一歩は、今すぐにでも踏み出せます。
皆さんも、まずは今目の前にあるものを見つめ、楽しみ、感謝し、一緒に禅の心を探求していきましょう!

というわけで砂場はもとに戻し、石は返し、人工芝は持って帰りました。
翌日全身筋肉痛になりましたとさ。
おわり
撮影協力
植彌加藤造園株式会社
京都市左京区鹿ケ谷西寺ノ前町45
TEL:075-771-3052
無鄰菴管理事務所
京都市左京区南禅寺草川町31番地
TEL:075-771-3909
※撮影は事前に砂場の使用申請を行い、許可を頂いた後に行っています。
[ライター/かのうしゃちょう 写真/サマー]










