ベトナムからこんにちは!
現地在住ライターの、ネルソン水嶋です。
LCC(格安航空会社)が増えたことで、スッカリと身近になった海外旅行。
昨年は1,600万人以上、国民のおよそ8人に1人が海外に出たとのことです。
とくにアジアはアクセスが良く人気で、時期やプロモーションによっては、韓国や台湾などは一万円前後、タイやベトナムでも三万円前後で行けちゃう時代。で、どこの国でも観光スポットとしてある場所が…そう!
市場!ですよね~!!
東京のアメ横に行かれたことがある方は、人と店と声量を倍にしてみてください。あの情報のカオスに飲み込まれる行為そのものがひとつのアトラクションです。でも、忘れちゃいけないことが、家族や友だちへのお土産…お買い物!しかしながら、市場の商品には値札が付いていないことがしばしば。レジに持って行ってバーコードをピッという、現代的なシステムじゃないんですね。じゃあお店の言い値で買うしかない? ノンノン、ノノン!
そこで価格交渉…つまり、値切りですよ!!
カモにされやすい日本人だから…「値切り」という剣を持とう
あくまで市場の商売人によるイメージですが、日本人って「お金持ち&勢いで押しやすい」んですよね。それでとんでもない金額を吹っ掛けて来るので、言い値を正直に飲み込んでしまうと大損こいてしまうんです。
お土産を売っているような市場では価格交渉は極々当たり前で、みんながそれを楽しんでいる節すらあります。嫌がられることはないので、これを機会に楽しみましょう(固定価格を記している店舗は除く)。言ってみれば、「値切りができない=剣を持たずして戦場へ赴くただの人」、ソーシャルゲームにおける無課金ユーザーと同じ。市場というフィールドに入るや否や売り子というモンスターに財布の髄まで食い散らかされるゾ!
という訳で今回は、アジアの市場で使える!4つの値切り交渉術をお教えします!
これはベトナムのみで実証済みですが、ほかでもおおよそ使えると思います。
舞台は、ホーチミンでもっとも有名な観光地・ベンタイン市場。
まずは手始めに、変なお面を値切ってみる。
いやぁ~!
魅力的な!
お土産が!
並んでおります…か?
正直、もう五年も住んでいると何が良くて何がそうでないか分かりません。
でもこれらがずっと売られているということは、ずっと買われてるということなんでしょうね。
「ネルソンさん、あれ値切って!」
「ん、どれ?」
※のちほど全員登場しますが、友人たちについて来てもらっています。
「あれ!」
「マジで言ってんのか…?」
成り行きで、個人的には全く欲しくないお面を値切ることに。
この流れで交渉術を紹介しましょう。
「ハウマッチ…」
「待て、慌てるな!ここは…」
「バオニューティエン?(いくらですか?)」
【値切り交渉術1】価格はベトナム語で聞け!
価格交渉はスタート価格が超重要!そういう意味では、戦いは第一声からはじまっています。このときほとんどの人が「ハウマッチ?」と英語で聞きますが、必ずベトナム語で「バオニューティエン?」と聞いてください(発音はGoogle翻訳などで調べられます)。ベトナム語で聞くということで「こいつ…相場を知っている!?かも」と思わせ、ぼったくりを牽制できるのです。
このあとで必要となる数字も覚えておくことがベストですが、問題はスタート価格なので、そこさえ引き出せばあとは電卓でのやりとりでもOK。一店舗に一台はあるので持っていかなくても大丈夫。
「120万ドン(およそ6000円)」
「え、たか! 高くね? マジで高いよ」
「じゃあいくらがいいのよ」
「えーっとね…30万ドン!(およそ1500円)」
「は!?」
【値切り交渉術2】言い値の1/3以下からはじめろ!
もちろんその価格ではほぼ買えません。ただ、相手も利益をいくら乗せているのか全く分からないうちは、思い切って無理のある価格を言いましょう。まさに「言うだけはタダ」です。もしも店員の言い値が最初から適切だとするとすぐに「帰って」と言われますが、その場合は欲しければちゃちゃっと買ってもいいかもしれません。
「無茶言うなや、95万ドンでどうよ」
「たっかいわぁ~!」
「ハンドメイドよ!」
「40万ドン!」
「75万ドン!」
電卓を挟み、熾烈な争いを繰り広げます。
「んじゃー55万ドンは?」
「いやもう無理やって」
「…」
「…」
「帰るわ」
「待てや」
「あだだだだ!」
「はぁ~、70万ドンでどう?」
【値切り交渉術3】「帰る」コマンドを挟め!
もちろん実際には帰りません。これ以上は先に進まないな、と思ったら最終手段として帰ろうとする。すると相手は止めてきて、さらに価格を下げてきます。このあたりが価格が落ち着く一歩手前。もしここで止めて来なければ、そのままグルリと回って最後の言い値で買いましょう。
「いやーでもそれに70万ドン(およそ3500円)は……帰るわ」
「待てや。ハンドメイドだっつってんだろ」
「40万ドン…」
「無理やって」
【値切り交渉術4】相手がうんざりするまで粘れ!
なんだかんだでその一言に尽きます。日本で値切ったことなんて一度もなかった私ですが、ことベトナム(の市場)においては、値切らなければ「あれ本当はもっと安かったのかな…」と後悔の念が襲ってくる。とにかく、根気の勝負です。相手がやりとりをやめない限り、それはまだ下げられる余地があると言えるでしょう。
最終的にほぼ半額に落いたが…。
「どうする?」
「いや…でもそのお面で3000円以上は…」
「…」
「やめとくわ」
「本気で言ってるのか…?」
バシッ
「バカ!(日本語)」
「うわっ!」
ドカッ
「アホ!(日本語)」
「逃げろ!」
【値切るデメリット】値切って買わないとだいたい怒られる!
交渉が決裂すると、売り子によっては日本語で文句を言ってきたり暴力を振るってきたりします。といってもじゃれ合いのレベルですが、そういうこともまるっと楽しむつもりでいきましょう! 間違っても落ち込むことはありません。いや、とはいえ、これはこちらが悪い! 申し訳ないことをした。もうしない。本当にごめんなさい。
と、以上が値切り交渉術!
ちょっとあのお面は敷居が高すぎた、現実的に買えるもので試そう。
きちんと交渉できた例がこちらです
さきほどは失敗してしまいましたが、ちゃんとした成功例もお見せします。
「すげぇ器用に寝てるな…」
「ネルソンさん、財布がほしい」
バラマキ土産にちょうど良さそうな小物入れが。
「8万ドンの小物入れ。5個で40万ドン(およそ2000円)か…」
うーん
「これ全部で10万ドンにならない?」
「なにバカ言ってんの?せいぜい35万ドンだよ」
「じゃあもういいよ、15万ドンで買うよ!」
「それでも安いわ!32万ドンでいいから」
「帰るわ」
「30万ドン」
「さよなら!」
「28万ドン!」
めっちゃ視線を感じる…。
「22!」
「26!」
「22!」
「25!」
「帰る」
「あーもう、24!」
「よし、それで!」
交渉成立~! 40万ドン(2000円)を24万ドン(1200円)でお買い上げ!
後ろのお姉さん、「ショーバイジョーズ!」って言ってめっちゃウケてた。店側に言うセリフだ、それ。
最後に1万ドンを足して25万ドンを支払いました。
50円の差額なんですが、こうすることでお互いに気持ちよく終わることができます。大切。
いつも気になる昆虫標本、誰が買うのか気になる。
その道の人には垂涎もののラインナップなのだろうか…。
交渉術をやってみよう!(1)~言い値が良心的な店もある~
さて、このあたりで、これまでに伝えた交渉術を友人たち3人にもやってもらおう。
お次はこちらのランタン。
「おじさん、このランタンいくら?」
「ひとつで15万ドン(約750円)、ふたつで25万ドン(約1250円)」
あれっ、つくりもシッカリしている割に安い気がする…。
「ネルソンさん、私この価格でもいいんですけど…」
「そ、それじゃ企画にならないから一応値切って!」
結局、言い値でお買い上げ。
こういう良心的なお店もあるので、全員が吹っ掛けているとはいえないな…。
交渉術をやってみよう!(2)~相場を知っているとスムーズ~
お次はTシャツ!
「お姉さん、このTシャツいくら?」
「15万ドンだね」
「うん、3万ドン」
「はい、12万ドン」
なんかもうお互い慣れてる…カードゲームの勢いだ。
「3万ドン据え置き」
「10万ドンでどうでしょう」
「それならば4万ドンでいかがですか」
「では7万ドンでファイナルアンサー?」
「いえいえ、6万ドンにいたしましょう」
「そうしましょう」
交渉成立~! 15万ドン(およそ750円)を6万ドン(およそ300円)でお買い上げ!
こちらのTシャツ、2年前の時点でおおよその損値が5万ドンだったはずなので、物価が高くなった今6万ドンは相当の値切りっぷりだと思います。交渉した友人もそのことを知っていたので、このあたりに落ち着くことは店員さんと二人とも見えていたのでしょう。
なお、このベトナムの国民食・フォーとiPhoneをかけたTシャツは、ベトナムのパロディTシャツ界ではおそらくもっとも成功しているロングランヒット商品。
次点でこのスターバックスのパロディ、店員さんが半目になっている点は謝りたい。
交渉術をやってみよう!(3)~最初の言い値を忘れられる~
つづいてはネイルジェル。
世の女性は美容に気を掛けると思いますが、ここベトナムでももちろん同じ。
「どれ買うの?」
「えーとですね……うわっ!?」
「これがええで(ヌリヌリ)」
店のおばちゃん、めちゃ強引に試し塗りしてきた!
「はい、このネイルジェル! 5万ドン!」
「いやーでもなー……わっ」
「これもええで(ヌリヌリ)」
「商売上手なのか下手なのか…」
「買うやろ?」
「なぁ、買うやろ!?」
「買うけど、5万ドンかぁ……じゃあ3万ドンでどう?」
「いや7万ドンで」
「?」
「さっき5万ドンって言ってたよね?」
「ここに15万ドンって書いとるやろうが!」
「さっき5万ドンって言うたやろうが!」
「じゃあここは4.5万ドンで…」
「いやいや、うちかて生活掛かってんねんから~!」
「うちかて生活~!!」
このおばちゃん、表情がコロコロ変わっておもしろいな。
最終的に、値札の15万ドンから(言い値だったはずの)5万ドンでお買い上げ!
値切り交渉術!まとめると…
1.価格はベトナム語で聞け!
合言葉は「バオニューティエン」。英語とベトナム語でスタート価格に違いあり、日本語では絶対聞かない。
2.言い値の1/3からはじめろ!
もしかするとそれでも高い。
3.「帰る」コマンドを挟め!
必ず一度は挟むべき、呼び止められなければその価格が最終価格です。
4.相手がうんざりするまで粘れ!
終始、これに尽きます。
これらを押さえて、楽しい値切りライフをお過ごしください!
ただ、一言だけ言っておくと、掛けた時間分だけ安くなるとは限りません。10分かけて100円しか下がらなかった…という可能性もゼロではないので、時給換算で考えると損してるかもしれません。あくまで、本気で利益を求めずに、価格交渉そのものを楽しもうとすることがコツです。
あと、市場にあるチェー(ベトナム式ぜんざい)は美味しいですよ!(120円くらい)