コミュ障芸人のウザい会話節約術02「ボルダリング自慢野郎 編」
ども。松竹芸能所属、「カブレラ」の兵頭です。
人とのコミュニケーションをなるべく節約したい、陰気なコミュ障芸人です。前フリも節約したいので、詳しくは第1回目をご覧ください。
今回、ごっそりと節約する「ウザい会話」は、初対面のときや、まだお互いによく知らないときに使われがちな、こんなフレーズで始まります。
みなさんは趣味がありますか?
僕にはこれといった趣味がありません。多少映画観たり、本読んだりしますが、そんなもん、もっと詳しい人はいるわけで、人に語れるようなものは何もないんです。そんな僕みたいな人間にとってこの質問、非常にウザい。
もちろん、純粋にお互いをよく知るために聞いてくれる人もいるでしょう。でも、中にはいるんですよ、こちら側に興味もないのにとりあえず聞いてきて、最終的に自分の話をしだす野郎が。自分がいかにキラキラした休日を過ごしてるか言いたいだけなんです。まあ、どうせボルダリングですわ。どうせカラフルなトップス着てショートパンツの下にタイツ履いて人工の崖をよじ登っとるんですわ。本当の崖はそんなもんじゃないぞ!登ったことないけど。落ちてヘラヘラしてんじゃねえよ!本当の崖ならただじゃすまないぞ!虫いるぞ!ドロドロなるぞ!なんか臭いぞ!登ったことないけど。しょせん、こっちの話は自分の話をするための踏み台、ボルダリングでいう、あの登るための突起、何て言うんだ?……(調べる)……ホールド!何いきっとんねん!ただの突起や!突起!いや、突起でもまだいけすかない、これからはポッコリや!ポッコリと呼ぼう、マッコリのイントネーションで。
とは思ってても口には出せないのが人間関係というもの。
みなさんならどう対応しますか?
たとえば、以下のようなフレーズを返すのはよろしくありません。
相手はここぞとばかりに「誰と?」「何しに?」とポッコリをどんどんつかんで這いあがってきて、あっという間に登頂(ネタ切れに)されてしまいます。相手が登りきれず、話す余地すら与えない圧倒的におもしろいエピソードでもあればいいんですが、そうそうそんなことあるわけもありませんからね。
結局、「そっちは休みの日、何してるの?」と聞きかえすハメになるわけです。ボルダリングの話がしたくてしたくてたまらない相手に。
かといって、
「何にもしてない」 or 「ずっと寝てる」
これでは、あまり印象がよくありません。会話を節約するとはいえ、自分のイメージがむやみに悪くなるのも避けたいところです。
しかも、「せっかくの休みなのにもったいない」などと、ポッコリを登りきった崖の頂上からこっちを見下ろすような感じで言ってきますから。で、「もっと外に出ようよ! あ、そうだ! ボルダリングやろう! 実は、俺もやっててさー」なんて展開が続くことにもなりかねません。
じゃあどうすれば、ボルダリング自慢野郎との会話を一気に節約することができるのか。私が考えるベストな返しはこちらです。
これです。休みの日はボルダリング三昧となれば、部屋の掃除なんて疎かにしているような奴ばっかりでしょう、どうせ。
興味のない「部屋掃除」を持ちだせば話も広がらないし、こちらのイメージも悪くない。特に水まわり、お風呂とかトイレとか掃除してるなんて言えば完璧です。「へえ……えらいね……」などと諦めて立ちさり、汗くさい会話が続くことはないでしょう。
それでも相手が「俺も部屋の掃除しないとなあ。最近、週末はボルダリング三昧だから」などと無理やり自慢しようとしてきたら、「あの壁ってポッコリだらけで掃除するの大変そうだよね」などと、「部屋掃除」というテリトリーに話題を戻してやりましょう。
まだそれでも「ポッコリって(笑) あれは“ホールド”って言ってさー」などと粘ってきたら、「その顔がホールドにみえてきた」とつかみかかろうとすればやめてくれるでしょう。
ちなみに私は休みの日、外に出て壁を登ったりはしませんが、部屋にいて壁をただじっとみつめたりはします。
それではまた。来週に。