ゆるがしこい節約メディア「ゆるぢえさん」

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どうも、株式会社人間の山根シボルです。
春の新生活に向けた「事故物件に住むとどうなるのか?事故物件に住むことは節約になるのか?」を調査する特集。
後編は事故物件公示サイト『大島てる』の管理人、大島てるさんにお話を伺います。

【松原タニシさん登場の前編はこちら】
事故物件の家賃は安い?大島てる&事故物件住みます芸人に聞いてみた(前編)



事故物件公示サイト『大島てる』 管理人 大島てるさん
2005年に事故物件公示サイト「大島てる」を開設。
サイト内の事故物件の定義としては、殺人事件、自殺、火災などの事件・事故で死亡者の出た物件としており、対象となる物件(宿泊施設を含む)の住所や部屋番号、元入居者の死因を公開している。
大島てる CAVEAT EMPTOR: 事故物件公示サイト : http://www.oshimaland.co.jp/

 

さすが、普段から喪服を着てらっしゃるんですね!

いえいえ、たまたまこっちで仕事があっただけです(笑)
話す内容が不謹慎ですので…

前回は、松原タニシさんの、妙に心霊現象に満ちたお話を伺いましたが、実際のところ、事故物件とはなんなのか?なぜ家賃が安いのか?
そして、事故物件に住むのはアリなのか?
よりリアルな視点で聞いてみます!

大島てるのポリシー

2005年に開設された事故物件公示サイト「大島てる」。
今回のインタビューをする上で、まずは大島てる氏の事故物件へ対する考え方をお聞きしました。



サイトの地図上の炎のマークをクリックすると詳しい場所や死因が確認できる。

「大島てる」というサイトにはどういった基準で物件が掲載されるんでしょうか?

「事故物件」とは事故があった「物件」。
販売中でも、入居者募集中でもなければ「物件」とは呼びにくいでしょうけれども、大島てるではかまわず載せています。
その理由は3つあります。

(理由1)
「売るつもりはない」「貸すつもりもない」という所有者の言葉がそもそも信用できない。事故物件を隠蔽させないため。

(理由2)
「売るつもりはない」「貸すつもりもない」が現時点では本当だとしても、将来についてはわからない。所有者の内心を確認し続けるのは無理。

(理由3)
事故物件の隣、上下、向かいでも住みたくないという人がいる。そういう人たちの役に立つサイトでありたい。

そう考えると、「大島てる」は事故物件に住みたくない人向けの情報を発信しているんですよね?

いえ、大島てるとしては「事故物件はダメ」と言うつもりはなく、中立の立場で情報を公開しています。
実際には、事故物件を避けたいという人たちに活用されているようですが。

「大島てる」のTwitterを見てると、新しい事故物件の情報が1時間に何件も投稿されてますね!すごい!

大島てるはさまざまなユーザに支えられています。事故物件の情報を投稿するユーザもいれば、その投稿内容の誤字脱字等をネット上でチェックするユーザもいます。
実際に現地に行って写真を撮ってきてくれるユーザまでいます。
ただ、今ツイートされたからといって、たった今事件・事故が起きたとは限らないという点に注意が必要です。

と、いいますと?

広告代理店の女性新入社員が自殺したことが昨年話題になりましたが、その飛び降り自殺自体は一昨年ですね。では、その現場マンションが大島てるにいつ掲載されたかというと、約18分後でした。

それってニュースが出て18分後ですか?

いえ、飛び降りの18分後です。

情報が早すぎる…!

警察やマスコミ関係の皆さんの中にもヘビーユーザがいるのではないでしょうか。あえて詮索はしていませんが。

え!タレコミみたいなことですか!?

そうです。ただ、タレコんだどなたかを守るためにもウチはあえて身元などを詮索しないのです。
世の中には大島てるの存在をよく思っていない連中もいますよね。
もし私が「誰がチクったんですか?!」と脅迫されて、もし私がゲロってしまったら、投稿したユーザが危険に晒されてしまうわけです。
投稿者をそもそも知らないということが、結局は投稿者を守ることになっているのです。
だからこそ皆さん安心して大島てるに投稿してください☆

殺人事件、自殺、火災、孤独死…事故物件の定義とは


それでは、世間一般での事故物件の定義とかってあるもんですか?

事故物件に関しては明確な定義がないのが実情ですが、殺人事件、自殺、死者が出た火災については含めることに異論がないでしょう。それらに加えて孤独死も含めるというのが私の立場です。ポイントは「人が死んだか」ですからね。

「孤独死」が入る、入らないなど、人によって定義が変わるんですか?

バリエーションといっても、孤独死を含めるか否か、というくらいです。あとは、建て替えてもまだ事故物件か否か、とか。大島てるでは主に「殺人事件、自殺、死者が出た火災、孤独死」のどれかがあった物件(他にもマイナーなものもありますが)という立場だというわけです。

どうしてその4つなんでしょうか?

世の中のすべての事件・事故…例えば「公園の木で首吊り自殺」といったものも掲載する、という方針をとったとして、誰の何の役に立つかわからないわけです。ゆるぢえさんに「節約」というテーマがあるのと同様に、取捨選択をすることによって意義が生じてくる。編集ということです。

その情報のソートって、その死因が「気持ち悪い」と思うかどうかですよね。その感じ方って人によって違うと思うのですが、その平均をとる感じですかね?

いえ、平均ではなく、もちろん私個人の感覚でもなく、「気にしいな人に合わせる」という姿勢です。
ですから、載せるか載せないか迷ったら載せるようにしています。

ちなみに、事故物件は都市部と郊外ではどっちが多いんですか?

もちろん、都市部の方が多いですよ。
ただ、それは人口が多いからですので、面白味のない当たり前のことです。
他にも、例えば青森県では飛び降り自殺する人が少ないということが知られているのですが…

もしかして、高い建物が少ないから!

そうです(笑)大阪市内でも、◯◯筋といった太い道沿いに事故物件が多いのですが、それも自然なことなのです。
法令上の制限のため、大きな建物は太い道沿いに建てられることが多いわけです。そして、高い建物があれば飛び降り自殺が多いと。それに加えて、高い建物には住んでいる人も多いですから。
だから、2次元の地図で見ると、大都市の、それも幹線道路沿いに事件・事故がたくさん目につく、という事実ではあるものの、つまらない話になるのです。

合理的!

でも3次元の地図なら、たとえば13階でしょっちゅう人が死んでるといったこともわかるかもしれない。今の大島てるではわからないことです。

なるほど…物件って、もともと3次元ですもんね…

事故物件は安くせざるを得ない

ここで本題なんですが、事故物件って家賃は安いもんなんですか?

事故物件の家賃が安いかについては表にするとわかりやすいはずです。

大家側が取り得る選択肢は4つ。
ここで、
「家賃は安くしないけれども正直者である」
「家賃は安くするけれどもウソつきである」のふたつは成り立たないのです。つまり、残りの
「家賃を安くするし正直者でもある」
「家賃を安くしないしウソつきでもある」という両極端のふたつだけが成り立つのです。

やはり、事故物件だと明かしていて、家賃を下げないということはありえない?

家賃を安くすることは法的な義務ではありませんが、ビジネス上の判断として安くせざるを得ないわけです。
やはり大抵の人が嫌がりますし、事故物件でも気にしないという人も、あくまでも「格安なら」というだけですから。

同じ家賃の場合、事故物件の方がいいという人は、松原タニシさん以外いないですもんね。

心理的なデメリットと経済的なメリットを秤にかけて、経済的なメリットを重視する人がいるというだけです。ですから、事故物件である旨を正直に告げるなら、家賃を安くせざるを得なくなるのです。

大家が家賃を下げたくないもうひとつの理由


でも、さっきの話で両極端な2つの選択肢が残りましたけど「家賃を安くしないしウソつきでもある」は業者のデメリットしかないわけですよね?バレた時に裁かれてしまったり。

あくまでも「バレたら」ですけどね。
ただ、安易に家賃を安くしてしまうとまずいこともあるのです。
例えば、家賃を月5,000円にしたら、変な人たちが集まってきてしまうのは確実です。要するに、入居者の質が下がってしまうのです。

住む人の中身が変わっちゃうんですね。

2重事故物件、3重事故物件になってもおかしくありません。

前回の心霊とかの話とだいぶ違ってきました。

マンションはひとつの村にたとえられます。ちょっとしたきっかけからいったんスラム化し始めてしまうと、なかなか元には戻りづらいのです。これは別に呪いとかによるものではありませんね。

家賃を下げるデメリットもけっこうヤバイじゃないですか!

より正確には、家賃自体は安くなっていない場合もあります。
例えば、礼金なし、敷金なし、保証金なし、更新料なしなどは家賃ではありませんが金銭的な条件の緩め方ですね。
その一方で、保証人なし、ペット可、水商売可、外国人可などというのは非金銭的であるわけです。
いずれにしても、かつてなら入居できなかった人が住めるようになるのですから、審査を通りやすくしていることに変わりはありません。

なるほど、家賃じゃなくてもメリットさえ作ってあげればってことですか。

公営住宅は特殊で、事故物件でも家賃が安くなっていないのはもちろん他の条件も緩くなっていない場合さえあります。もともと家賃がタダ同然で、高倍率の抽せんに当たらないと入居できないのですが、事故物件だと嫌がる人がいる分、倍率が少し低くなることがメリットになるというわけです。

事故物件を告知する義務がある

物件が「事故物件ではなくなる」ということはあるんですか?
建て替えたり、リフォームしたりして、告知しないでもいいやってなりそうなものなんですが。

「事件・事故があった建物は取壊し済。更地にしたのだから、もう事故物件ではない」と言う人がいます。でも、その考え方でいくと、大火事になったらチャラというおかしなことになってしまいます。

そもそも「事故物件である旨告知する」ということは法的な義務の話です。そして、義務とは「中学校を卒業する」とか「制限速度を守る」という最低レベルの話なのです。

(最低レベルの話聞いてすみません…)

次にポイントとして「告知する義務」とは誰に課せられた義務なのか?仲介業者だけでなく、売主・貸主(大家)にもあるというのが正解です。

業者は信じていいと?

仲介業者からしたら、預かっている物件が事故物件化しても別に痛くもかゆくもないのです。他人事ですから。
仲介業者には事故物件を隠す動機がありません。
でも、大家にとっては痛いですよ。だから必死に隠蔽しようとするのは大家なのです。仲介業者ではありません。

「2人めからは言わなくていい」は都市伝説

1人目には事故物件だと伝える義務はあるけど、2人目からは言わなくてもいいと言うのは本当ですか?

私からすれば都市伝説のようなものです。
ただ、不動産業界での支配的な考え方ではあるでしょうね。

都市伝説なのに主流に?

事件・事故後2人目以降の入居者には事故物件である旨告げないという業者は多いです。
裁判沙汰になったら、それでいつもいつも通用するとは思えませんけどね。

かつては1人目にさえ黙っていたのが、今は「1人目には言わなきゃマズい」となったのですからずいぶんマシになったと思っています。

てことは、本当に気になった場合『事故物件でしたか?』って絶対聞いたほうがいいですね。

それはそのとおりです。あとでガチンコで争った場合「それだけ気にしてるのになぜ聞かなかったんですか?」と言われかねないですから。

そのへん、ちゃんとルールを決めればいいのになあ。

私自身は事故物件をめぐるルールは今の曖昧なままでいいと考えています。

今のルールっていうのは?

「大事なことはちゃんと言いましょう」というだけです。
例えば自殺があったら最低5年間は告知する義務があるというようにはっきりさせてしまうと、「もう5年過ぎたから言わなくていいや」というお墨付きになるだけなのは目に見えています。

逆に「言わなくてもいいルール」もできる、みたいなことですね。

「後で訴えられても困るし、よくわからないからとりあえず正直に言っておこう」という抑止力に期待しているのです。



時折、怒りの感情を交えながらゆっくりと丁寧に説明する大島てる氏

事故物件だけの業者、UR賃貸は一律半額…事故物件の探し方

話は変わりますが、もし事故物件に住みたくなったら、どうやって探せばいいんでしょう?

「不動産屋さんでズバリ聞いてみてください」と言いたいところですが、事故物件を全く扱っていないところも結構あります。

業者によって差があるんですね。

まず、事故物件は物件全体の中ではやはり少数なのです。
ですから未経験の業者もいますし、不慣れだからやめておこうということにもなる。
逆にプロはどんどん特化していっています。
「事故物件といえばあの人」ということで仕事が集中しますから。

事故物件に特化!?ここで名前を出せる業者さんってあるんですか?

「アウトレット不動産」さんとかはそうですね。「訳あり物件」と表記されてますが。



アウトレット不動産に関してはここに書けないような裏話も聞きました。

メインメニューに「ご祈祷」がある!でも、ここまでモロなのは特殊なパターンですよね。

もちろん、普通の業者でも根気よく聞けば教えてくれますが…
事故物件で家賃が格安になっていると仲介手数料も少額になりますし、割に合わないと思われても不思議ではありません。

UR賃貸の特別募集住宅もそうですよね?

そうですね。URには興味深い特徴が2つあります。
1つめは、大島てる同様、孤独死も事故物件として扱っているという点。そして2つめは、その孤独死から殺人事件まで全部同様に扱っているという点です。
たとえば関西エリアなら1年限定ですが、みんな一律に半額になります。

だから応募時に、割引率から事件・事故の内容を推測するということができないのです。
もちろん、入居する際に聞けば教えてくれますが。

1年限定だけど、半額っていうのは大きいですね。

ただ、URほどの大手が「事故物件は一律半額」としているのに、よそには全然波及していないのが不思議ですよね。
しかし、事故物件と聞いて「半額」とイメージする人が多いのはまさしくURの影響でしょう。

節約として事故物件に住むのはアリ?ナシ?


最後にズバリ、節約として事故物件に住むことはアリですかナシですか?

アリです。事故物件であると正直に教えてくれるということは、仲介業者も大家も信頼できるということですから。

なるほど。

一番避けたいのは、知らずに事故物件に住むことです。当然安くもなっていないでしょうしね。
一事が万事と言いますが、事故物件を隠蔽するような大家が他の面では完璧などということはありえないのです。
「事故物件を隠蔽するかしないか」が、その大家が信頼できるかについてリトマス試験紙のような働きをするのです。

あとは、心理的デメリットより経済的なメリットが上回ってれば、ということですかね?

ただ、節約にならない場合もありますよ。
特に、火事があった部屋などがフルリフォームされている場合、事故物件ということで同じグレードの他の物件よりは割安になっていても、火事前の家賃と比べると高くなっているという場合はあるわけです。

うーん、でも事故物件ということを忘れちゃえば良い物件のような気も…

最後になりますが、「不動産に掘り出し物なし」という格言があります。
事故物件を承知の上で安く買うのは自由ですが、事故物件であることを隠せば高く売れるかも~などとは考えないでください。
そんなことは通用しません。

不動産に掘り出し物なし!心に刻んでおきます…

結論:事故物件は確実に安い

さて、前後編に分けて松原タニシさん、大島てるさんにお話を聞いてきましたが、共通した意見としては、
事故物件の家賃は安い
納得して住むならアリ

というのが結論でしょう。
(家賃に関しては例外ありましたが)

タニシさんの心霊的な話を聞くと、まるで呪いのあるイメージが倍増しましたが、不動産的な視点から見ることによって「ただ事故があった物件」に見えてきた気がします。
合理的な理由で値段が下がっていることがわかっただけでも、心理的なネガティブさは少し減ったかもしれません。

個人的には、賃貸ならば人生経験のひとつとして住んでみてもいいかなーと思いましたが、そこで起きた死因が「気持ち悪い」と思うかどうかは人それぞれ。
よく考えて、最後は自己責任でお願いします!


【松原タニシさん登場の前編はこちら】
事故物件の家賃は安い?大島てる&事故物件住みます芸人に聞いてみた(前編)